海洋散骨や手元供養などで、遺骨を粉骨にする検討をされる際、様々な海洋散骨業者や粉骨業者のホームページを見ると
「遺骨には六価クロムが含まれているので無害化しなければいけない」
という強い表現を目にする方もいらっしゃることでしょう。
「有毒なの?」「必ず無害化しなければいけないの?」
いろんな不安が出てくることと思います。ここでは、遺骨と六価クロムとの関係についてご説明します。
六価クロムとは?
六価クロムの説明の前に、そもそもクロムとは何でしょう。
クロム(Cr)は金属の一種です。
私たちの身近なものではステンレスなどにも含まれ、錆びにくい素材です。
単体のクロムは人体や自然界に無害、また、化合物の三価クロムとして土中に広く存在し、無害な物質です。
一方、「六価クロム」は、ご火葬時の台がステンレス製である場合やクロムメッキがされている場合に、これを長時間高温で熱した際に六価クロムが生じることがあります。そのため六価クロムは遺骨に付着する可能性があります。
単体のクロムや三価クロムに比べ、六価クロムは非常に強い酸化作用があり、接触すると有機物を酸化します。
たとえば、人の体に触れると皮膚の炎症を起こしたり、癌の原因になったりする物質ですので注意が必要です。
遺骨=六価クロムが含まれる=危険?
いえ、遺骨に必ずしも六価クロムが含まれているとは限りません。
ご火葬時の台がステンレス製以外の耐火れんがや耐火セラミックなどの場合は、六価クロムが発生しない環境です。しかし、ご火葬時の台の素材なんて覚えていない(わからない、その時に意識していない)ですよね。
もし、ご遺骨に六価クロムが含まれていたとしても、六価クロムは常温で気化することは無いため、遺骨を普通に自宅に置いておく場合には何も問題ありません。ペンダントに納めて身に着けていたとしても、そこから危険な物質が浸出してくることはありません。
ただ、六価クロムは水に溶けやすい性質があるため、もし、「ステンレス台で火葬したご遺骨」を「直接手で触って桶で水洗いする」などという特異的な状況にならない限りは、有害物質の心配をする必要はさほどないと考えられます。
それでも気になる・・・六価クロムが含まれるか調べてくれる?
遺骨を安置しておく際には、科学的に六価クロムの害が生じる可能性が低いと言われても、一度有害物質の存在を耳にしてしまうと不安になるのが私たち人間です。
故人の遺骨に含まれる物質が「有害かもしれない」と疑惑を抱きながら暮らすのも悲しいことです。
カノンでは、ご希望の場合には六価クロムの有無をお調べすることができます。
また、もしご遺骨に六価クロムの含有が認められた場合、無害化処理も行っておりますのでご相談ください。
六価クロム検査と無害化処理
検査で六価クロムが検出されなかった(陰性)場合は検査料のみかかります。
検査で六価クロムが検出された(陽性)場合には以下の処理費用が別途かかります。
六価クロム無害化処理:13,000円
(内訳:中和処理:2,000円,六価クロム陰性の確認:3,000円,長時間乾燥:8,000円)
六価クロム検査
六価クロムの検査はご遺骨の一部を水に浸してその水に六価クロムが溶出しているかどうかをテスターを用いて検査いたします。検査の結果、陰性の場合(ご遺骨に六価クロムが含まれていない)は検査料のみ(3,000円)がかかります。検査に用いた少量のご遺骨は無料にて十分に乾燥後、粉骨を行います。
六価クロム無害化処理
検査で六価クロムが検出された場合にのみ以下の六価クロム無害化処理を行います。
検査結果及び処理は粉骨報告書にてご報告させていただきます。
中和処理
六価クロム検査にて陽性だった場合、環境省が出す環境基準: 0.05mg/l以下となるように、六価クロム中和処理剤を用いて無害化処理を行います。ご遺骨全体に処理剤が十分に浸透するように一度水に浸してから処理剤を添加します。
六価クロム 陰性の確認
六価クロムが検出されない事をテスターにて確認いたします。 (環境基準:0.05mg/l以下)
長時間乾燥
ご遺骨の量に応じて24〜48時間の長時間乾燥を行い十分に遺骨を乾燥させます。