粉骨した遺骨をカビから守る3つの鉄則

自宅にずっと置いてある遺骨にカビが生えるって聞いたけど、どうしたら良いか悩んでいませんか?

粉骨したらカビは生えなくなるのでしょうか?

遺骨に生えるカビを予防するにはどうしたらいいか、そんな疑問を持ってはいないでしょうか。

本記事では下記の内容を解説します。

ちなみに、筆者は愛犬の遺骨を粉骨にして5年間自宅に保管しています。
実際に本記事と全く同じ方法(自宅でできる簡単カビ予防参照)で遺骨の保管行っておりますが、
遺骨はカビの発生も特になく、粉骨した当時と全く同じ状態で問題はありませんでした。

粉骨した遺骨をカビから守る3つの鉄則

遺骨はそもそもそのほとんどがカルシウムです。ただし、遺骨の中にはカビにとっての栄養源である有機物が微量に残っていて、そこからカビが繁殖してしまうことがあります。
 
遺骨をカビから守るには
 
「カビ自体を減らすこと」
 
「カビの栄養素を断つこと」
 
「カビの生育環境をつくらせないこと」
 
の3つが鉄則となります。
 
それでは詳しくご説明していきます。

1.殺菌してカビを減らす

火葬後すぐの遺骨には、カビはそもそもほとんどいないと考えてよいでしょう。
火葬の火炎により菌は完全に死滅しています。
 
ただ、外の環境に置かれていた骨壷や長い年月が経った骨壷は、骨壷の隙間からカビの胞子が侵入して繁殖している場合があります。
 
そして遺骨にカビが生えてしまっている場合はまず、カビそのものを減らす必要があります。
 
殺菌方法には、煮沸殺菌、アルコール殺菌、火炎滅菌、UV殺菌、乾熱滅菌など様々な方法がありますが、
遺骨のカビに適しているのはUV殺菌、乾熱滅菌です。

煮沸殺菌、アルコール殺菌

煮沸殺菌はその名の通り沸騰した湯に入れて殺菌する方法です。
また、アルコール殺菌は、アルコール系の薬剤を散布することで細菌を死滅させる方法です。
どちらの方法も、一度遺骨を濡らす必要があるため、細かいご遺骨が液体とともに流出する可能性があります。
また、殺菌後に水分が蒸発するまでしっかりと遺骨を乾かす必要もありますので、遺骨の殺菌方法として余り適してはいないでしょう

火炎滅菌

火炎滅菌は、バーナーなどの高温の炎で殺菌する方法です。特に問題ありませんが、遺骨量が多い場合、すべての遺骨に均一に炎を当てて殺菌するというのは少し大変な作業かもしれません。

UV殺菌、乾熱滅菌

UV殺菌は紫外線(ultraviolet)を照射することで細菌をを行う方法です。乾熱滅菌は乾燥した空気を高温状態に保って殺菌する方法です。どちらも、遺骨の流出や壊れたりする心配が少なく、満遍なく殺菌できるという点で優れた方法と言えます。
 

2.異物を除去してカビの栄養源を減らす

骨壷の中には一緒に火葬した副葬品(指輪、時計、メガネなど)や棺の金具などが含まれている場合があります。また、火葬で完全に燃えきらなかった有機物は黒い煤(スス)となって残る場合があります。
カビはこの有機物を栄養にして繁殖するため、骨壷の中にある黒い煤(スス)はできる限り取り除いてカビの栄養源を減らすと良いです。

3.除湿・脱気してカビの生育を阻害する

遺骨をカビから予防する鉄則の中で一番重要なのはこの除湿です。水分の無い環境において全ての微生物は生育不可能です。つまり、しっかりと除湿さえできればカビの発生はあり得ません。
 
除湿を完璧に行うためには、水分を含む外気を遮断する真空パックは有効です。骨壷を密閉するのも良いでしょう。
さらに、シリカゲルなどの吸湿剤を使用して骨壷や遺骨内部の水分を吸い乾燥状態を維持することでカビの生育を阻害します。

えっ?粉骨してもカビは生えちゃうんですか。

「粉骨してもカビは生えちゃうんですか。」と質問されることがあります。
 
粉骨後、そのまま遺骨を外気にさらしておくと、遺骨は空気中の水分を吸収していってしまいますので、
単に粉骨をしただけではカビが生える可能性がありますというのが答えです。
 
ただし、粉骨後に遺骨を密閉・除湿した環境で保管をすればカビは生えませんのでご安心ください。
 
粉骨自体は特にカビの予防とは関係していませんが大抵の場合、粉骨と一緒に真空パックにしたり、除湿剤を入れたりすることで、遺骨の保管状態は結果的に良くなります。

自宅でできる骨壷の簡単カビ予防

カビ予防の鉄則で一番重要なポイントは除湿です。
骨壷内の湿気を低く保つことができればカビは繁殖することはありません。
そのためには、骨壷の蓋をテープで巻くなどして密閉し、シリカゲルなどの除湿剤を一緒に入れておけば大丈夫です。
骨壷 保存 シリカゲル
自宅ではこれさえできれば、カビ予防は十分です。
 
また、手から付着する皮脂成分もカビにとっての栄養源となるため、遺骨に触れる際には手袋などをしましょう。
 
 
もし、すでにカビが生えてしまっていた場合は、どうしたら良いでしょうか。
ご家庭で実践できる方法としては、天日干しが効果的です
 
太陽光は紫外線(UV)を含む非常に優れた殺菌効果のある光です。日中に遺骨を薄く広げ太陽光に当てることで殺菌を行うことができます。
 
ただし、風等の影響が無いようにガラス越しなどの室内で行うことや、遺骨が他人から見えないような場所を選び周囲に配慮して行うことに注意が必要です。
 
ただ、すでに繁殖してしまったカビ自体を完全に殺菌するというのは、ご家庭では少し難しいかもしれません。
周囲に配慮しながら遺骨を天日干しするという行為は、心理的にも抵抗がある方がほとんどです。
難しければUV殺菌機や乾熱滅菌機などの専用の機械を持ったプロに任せるのが一番です。