火葬後のペットの遺骨をどうするかについて悩んでいたら読む記事

愛情いっぱいに育ててこられたペットちゃんの死は、共に暮らしてきたご家族様にとってはとても辛く悲しく、しばらくの間は落ち込んでしまうこともあるでしょう。少し時間が経ち、お気持ちが落ち着いた頃、“家族同様に思っていたペットをきちんと供養してあげたい。でも、火葬後のペットの遺骨をどうすればいいのだろう”とお悩みになることもあるかと思います。

大切なペットちゃんのご遺骨のご供養についてきちんと考えていくためにもペットのご火葬後のご遺骨の供養の方法について調べてみました。

ペットの遺骨を自宅で安置する

ペットの遺骨をご自宅で安置される理由は、

「住宅事情で埋葬するお庭がない」

「引っ越しが多い」

「ずっとそばで供養をしたい」

と言ったように。ご家族様によってご事情は様々です。

家族とペットの距離が縮まるにつれて、近年では自宅でご遺骨を保管する方も増えつつあります。

この様な遺骨をご家族のお手元に置いて供養する方法は「手元供養」と呼ばれ、ひとつのご供養の形として浸透しています。

ペットの遺骨をずっと自宅で安置していてもいいの?

ペットちゃんのご遺骨の扱い方や供養の仕方に決まりはございません。

ご自宅の一角にお写真やお供えと共にご遺骨を置いて、手を合わせる「手元供養」はとても心のこもったご供養かと思います。

もし、将来的に納骨や埋葬を考えている場合には、四十九日、月命日、百日忌、一周忌、三周忌、または家族の集まれる日などを目安にされるといいかと思います。

また、数年後にお引越しをされたり、ご家族様のご状況も年々変わることもあるかと思いますので、その折々をきっかけに供養の仕方を変えられる方もいらっしゃいます。

自宅でペットの骨壷を安置する際にはカビに注意?

骨壷を自宅で保管する場合、一番注意するべきは「湿気」です。

特に陶器の骨壷は、陶器と蓋の間から空気中の水分が中に入り、内部に湿気がたまることがあります。

遺骨は、800℃~1000℃の高温の火で焼かれると骨の間に空気の隙間を多く含む乾燥した状態となりますので、空気中の水分を吸収しやすくなります。

内部や表層面に水分が含まれた遺骨は、カビの生育にとって良い環境となり得ます。

そして室内でも寒暖差の大きい場所などに骨壷を置いていると壷内部が結露することでカビが発生します。

火葬から時間が経ち、大切な遺骨にカビが生えていたら、とても悲しい気持ちになってしまいます。

そうならないためにも、正しい方法で大切な遺骨を保管しましょう。

自宅でできる骨壷の湿気対策

◎準備する物

  •  シリカゲル等の吸湿剤:骨壺内の湿気を吸ってくれます。

シリカゲルは、100円ショップなどで食品保存用として販売されています。

  •  テープ:陶器と蓋の間を密閉するために使用します。

◎手順

1.シリカゲルを入れる

陶器の骨壷は、密封性が低く、骨壷と蓋の間から湿気が入ってきてしまいます。湿気が骨壷内にこもり、骨壷の底にたまりやすいため、吸湿剤はなるべく骨壷の底のほうに入れましょう。

骨壷の底にシリカゲルを入れるのが難しい場合は、蓋の裏にテープで貼るなどして、骨壺内部にシリカゲルを入れておきましょう。

2.蓋との境目にテープを巻く

蓋と本体の境目をテープで一周巻いて、湿気が入らないように密閉しましょう。

骨壷内部への湿気の侵入を防ぐことでカビの発生を予防できます。

自宅での骨壷の置き場所はどこがいい?実際のみんなの置き場所

遺骨を自宅保管される場合、保管場所としてペット用の仏壇や供養棚を用意される方もいらっしゃいますが、ご家族が集まるリビングや、ペットちゃんがいつも過ごされていたお部屋に置かれ、思い出を偲んであげられる場合も多いです。

実際にお手元にてご供養されている方の一例を挙げてみます。

 

・リビングの一角に棚を作って写真と供物を備えて供養している。

 

・亡くなったペットが大好きだった場所に小さなテーブルを置いて、そこにペット用の仏壇を置いている。

 

・ご先祖様の仏壇の横に小さな台を置いて、ペットのご遺骨を供養している。

 

ペットのご遺骨を安置されている場所はご家庭によって様々なようです。

寒暖差のある直射日光の当たる場所や湿気のたまりやすい場所は避けたほうが良いでしょう。

また、猫ちゃんを飼育されているご家庭では棚に骨壺を置いていると、猫がジャンプした拍子に倒されてしまったということも。

骨壷が倒れない様に工夫したり、あまり高いところに置かない様にしたりすることも検討してみてはいかがでしょうか。

人用の仏壇にペットの骨壷を置いても良いの?

ご先祖様のご仏壇に一緒に置いてしまって大丈夫なのだろうか…。

と、不安や疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。

お仏壇は「仏さまがいらっしゃる壇」という意味ですから、お仏壇は仏さまの慈悲に包まれている場所です。

人も、人以外の生命も慈しみ尊重するという仏教の教えを鑑みると、ペットの遺骨を人の仏壇に置くことも問題ないのではないでしょうか。

「故人が大の動物好きで、今回亡くなったペットちゃんのこともとても大切に思っていた。」などという場合ですと、率先して同じお仏壇にお骨を保管するご家族様もいらっしゃいます。

それでも、これまでの慣習や考え方などで、人と動物を一緒にしてしまうのは抵抗があるという場合には、仏壇の脇や前に小さな台を用意し、その上に置かれるなどしてご供養されるのも方法かと思います。

ペットの骨壷を保管する方角は?

気になさる方もいらっしゃいますが、骨壷を置いてはいけない方角というのは特にありません。

ご家族の目の届く場所で手を合わせて供養してあげましょう。

人の仏壇と一緒に保管する場合は、宗派によって仏壇自体の置く方角や場所に決まりがある場合もございますので、それに準ずると良いでしょう。

ペット霊園のお墓や納骨堂に納める

ペット霊園のお墓や納骨堂にご遺骨をお納めし、ご供養する方法です。

施設にもよりますが、年会費や管理費用を支払い、自由にお墓参りに訪れることができご供養することが可能です。

ペット霊園についてはお寺と同じようにご家族様が「お墓を建てる」ほか、スペースをレンタルしてそこに遺骨を納める「納骨堂」やほかの遺骨と一緒に遺骨を納める「合同供養塔」、「合同慰霊碑」などがあります。

ペット霊園では定期的に法要をされている場合が多く、ペットちゃんの法要を定期的にして供養してもらえる安心感があります。

ペット霊園に納める場合は、責任者が明らかにされているか確認を

近年、ペット霊園とのトラブルもみられるようです。

ペット霊園は小規模な個人経営の場合やほとんどが民間の経営によるものです。

民間のペット火葬業者やペット霊園は、役所の許可や登録がない状態でも運営することができるのです。

そのため、お金儲けを目的とした業者が増えやすく、高額請求や突然の閉鎖など、トラブルも多くなってしまうのです。

トラブルに遭わないためにも、業者との連絡が取れなくなってしまうことが無いように、責任者が明らかにされているかを確認しましょう。

また、インターネットなどで情報を集めたり、実際に利用されている方の口コミなどを参考にして、ご家族皆様で相談されお決めになられるのがよいでしょう。

ペット霊園が突然閉鎖されたという事例も

実際に、近年、大阪の宝塔というペット霊園が経営難で勝手に閉鎖してしまったという実例がありました。

宝塔、ペット霊園の閉鎖

宝塔ペット霊園の前にはこのような看板が2枚だけ立ててあったそうです。閉園の横の左の看板には

「H29.4月より工事に入ります。このお彼岸が最後のお参りとなります。写真などの思い出の品はお持ち帰りください。残りはいらないものとして対応しますのでよろしくお願いいします。」とだけ記されています。

預けていたペットちゃん達のご家族に連絡等は一切なく、一方的であまりにもひどい突然の閉鎖はニュースとなり波紋を呼びました。

将来的なことも含め経営はしっかりとできるのか、通知をしっかりとしてくれるのか、連絡が取れなくなってしまうようなことはないか、トラブルのないよう、十分にその霊園の評判や状態を調べてから預けるようにしてください。

お寺のお墓に納める

ご家族様が檀家さんを務められている寺院、お近くのお寺にペット供養塔があればそちらにご遺骨を納められるなど、ペット霊園に限らず人の墓園やお寺にも、ペットのお墓が併設されているところがいくつかあります。

お寺へのペットの納骨は、しっかりと供養をしてもらえるのはもちろんのこと、地域に密着して歴史のある寺院等であれば長年供養をするという面でも安心です。問い合わせてみるのもよろしいかと思います。

ペットも一緒に入れるお墓を探そう

いずれはご自身のお墓に一緒に納めたい、先祖代々のお墓に納めたいとお考えの方も増えてきています。

先祖代々のお墓にペットの遺骨を納める場合は、ご信仰されている宗派、ご家族様、ご親戚の許可は少なくともとった方が良いでしょう。

お墓に入れるということは、いずれ誰かが継いでご遺骨の管理するということです。

一人での判断をせず、皆さんでよく話合いお決めになられると良いかと思います。

ペット用墓地は、人よりも少し安い価格で墓地や区画が販売される傾向にありますが、そのほか管理費、維持費等含めると数十万〜数百万程度の費用がかかってきます。

人の霊園に併設されたペット墓の場合、経営母体が大きなため、安心して我が子の骨を預けることができるだけでなく、ご先祖様のお墓の近くに作ることができれば、お彼岸の時等に同時にお参りに来ることができます。

先に旅立ったペットのお墓と自分のお墓を作り、あとで一緒に入るという方もいらっしゃいます。

土に埋葬する

最近ではご火葬後のご遺骨をお手元に置かれ、お気持ちが落ち着いてから一部をお庭の木の下に埋葬されたり、お花の種をまかれて咲いたお花にお亡くなりになったペットちゃんの面影を偲んだりされる方も多くいらっしゃるようです。

自然埋葬においては、これから先、万が一お骨を大切にしている家族に何かあったら…。他の家族や親戚は同じように遺骨を大切にしてくれるだろうか…。といった不安を残さなくて済むとのお声も聞かれます。

しかし、いくつかの注意点がございます。

ペットちゃんのご遺骨をを自分の私有地に埋葬することは法的には問題はありません。

ご自身の敷地内への埋葬は問題ございませんが、他人の所有地の場合は許可が必要です。

また、公園や人の多い場所への埋葬は避けましょう。

陶器のお骨壷は土に還りませんので、骨壷からお骨を出し、細かく粉末にしてから埋葬しましょう。お骨を細かくすることは周りへの配慮や、土に早く還ることができます。

海に散骨する

海洋散骨といい、火葬後のご遺骨を粉末状にし、海へ撒きご供養する方法がございます。

ご家族様の立場として、パウダー状の骨が綺麗に散っていく様子を見てお気持ちに整理がついたなどの、心理的な効果もあるようです。

ペットちゃんの散骨に決まりや法律はございませんが、「節度」=「マナー」を守らなければなりません。

周囲の方に配慮して散骨する

ペットのご遺骨を海へ散骨するときは、漁場や海水浴場は避けましょう。

周囲に人がいない静かな場所で行うようにしましょう。

散骨に対して良いイメージをお持ちではない方もいらっしゃいます。

人がいる場所で散骨をして、周りの方を不快にさせてしまう場合もあります。

また、もともと人が多い場所や、人の往来がある場所での散骨は避けましょう。

お骨を細かくする

遺骨はそのまま撒いてしまうと自然に還るのに時間がかかってしまいます。

また、散骨場所付近へやってきた人が骨を目撃してしまうこともあります。

骨が大きいと人の骨と間違え、通報されてしまうといった騒ぎになりかねません。

散骨の際は必ずお骨を原型がわからなくなるくらい位に砕くか(5mm以下程度の大きさ)、パウダーにしましょう。

お骨を粉末状にされるのに抵抗のある方や、骨格の大きい大型犬等のペットちゃんの場合などはご自身でパウダー状にするのは大変なことですのでペットのご遺骨をパウダーに加工できる業者に相談するのも一つの方法でしょう。

環境や公衆衛生に配慮して散骨をする

散骨をするときに一緒に好きだったおやつやお花などを添えたいという場合は、できるだけ少量にしたり、おやつは腐って臭いや虫を寄せ付ける物を避けることが必要です。

また、お花であればビニールのついた花束を流したり、置いてきたりすることは避け、花びらのみを一緒に撒く程度にして環境に配慮した散骨を心がけましょう。

ペットの骨と一緒に散骨したい

・自分が亡くなったら、ずっと共に支え合って寄り添い生きてきたペットの遺骨と一緒に散骨してほしい

・旅立ってからも離れたくない

など、最近では「ペットと共に散骨してほしい」と火葬後のペットちゃんのご遺骨を保管され、散骨を希望する方が増えてきました。自分の死後も一緒でいたい、と思うほどの、とても大切な存在なのです。

散骨業者の中にはペットちゃんのご遺骨の散骨も対応している業者もあります。

ペットと共に散骨する時には、ペットの遺骨も粉骨したうえで、同じ場所に散骨することになりますが、ご本人の生前の意思などにより、ペットの遺骨と混ぜてから散骨する場合もあります。

注意点として、ペットの場合であっても必ず粉骨してください、トラブルを防ぎ、自然に還りやすくするためにも、骨形が分かるままで撒くことは避けましょう。

一部だけ分骨して供養する

ご遺骨の一部を取り分けておくことを「分骨」といいます。

全ての遺骨を合同供養塔への納骨や、土中への埋葬、散骨されてしまえば、取り返しはもちろんききません。

分骨をしておけば、後からペットちゃんのご遺骨を手元に置いておきたかった…。などの後悔をすることもありません。

また、大きな骨壷をずっと自宅に置いて置く必要もなくなるので、非常にコンパクトな供養法と言えるでしょう。

分骨する際の容器も多種多様に存在しています。

「分骨用骨壷」「分骨用カプセル」「その他小瓶や木製容器」など、仏具店やメモリアルグッズの通販で取り扱っているような分骨専用に作られたものもあれば、ご家族様によっては雑貨店などで売ってる小さな瓶などや木製の小箱に入れられる方もいらっしゃいます。

分骨に適した入れ物の条件

分骨のために用いられる容器は、長期間にわたり保管したり、持ち運んだりするため以下の条件が必要となります。

1.湿気がはいらないこと

2.錆びないこと

3.コンパクトなこと

4.衝撃に強いこと(持ち運ぶ場合)

以上のような点を満たす容器をご自身で探す他に、「分骨用」として設計・販売されているものは、ご遺骨を保管するための綿や小袋が添付されていたり、密封できるものであったりする場合が多いので一度検討されるのも良いかと思います。

分骨用ミニ骨壷

大きさ形も様々で、見た目のデザインもおしゃれなものからお亡くなりになったペットちゃんの姿を想わせるような、可愛らしいものもあるようです。素材も信楽焼きなどの陶器製の他、金属製やガラス製にこだわったものも多くございます。

分骨用カプセル

色やデザインも様々で、5㎝程度の大きさが多く、ご遺骨は歯や爪のお骨をお納めされるのがよいかと思います。ストラップやネックレスにもできるタイプやペットちゃんのお名前や命日を刻印できるものもあるようです。

分骨用ネックレスやペンダント

分骨したものを粉骨してお納めするペンダントやネックレスなどもあり従来の形にとらわれない、ご家族様の想いやライフスタイルに沿ってペットちゃんを弔う形も多様化してきています。

最近は本物のダイヤモンドなどの宝石を使用した、アクセサリー感覚で身に着けられるデザインも人気があるようです。