『遺骨は自宅に置いたままにしていてもいいものなのでしょうか。』
『お墓に入れないことは良くないことなのでしょうか』
実際に遺骨を自宅保管することに関して心配をされた方が、弊社に問いわせをくださることがあります。
安心してください。
世の中の全てのご遺骨がお墓に納められているという訳ではありません。
お墓を作っても継承者がいないというご事情や、たとえお墓を建てる費用があったとしても、お墓に入ること望まず、自宅保管を選択される方もいらっしゃいます。
本記事では安心して遺骨を自宅保管できる方法や、その後どのように遺骨を供養すればいいかについて解説いたします。
遺骨をお墓に入れず自宅保管していてもいいの?
火葬後、遺骨をお墓に入れずに自宅保管しても問題はありません。
遺骨を自宅保管するのも手元供養と呼ばれる供養方法の一つです。
遺骨の取り扱いや墓地については、墓地埋葬法という法律がありますが、
法律上も遺骨を自宅保管することに問題はありませんのでご安心ください。
お骨を自宅保管しておくのは良くない?
弊社にお越しになるお客様とお話をしていると、自分は遺骨を自宅保管するつもりでいても
親族同士のご相談のなかで、
『自宅にずっと遺骨をおいておくなんて良くない』
『早くお墓に入れなさい』
と言われてしまう方もいるようです。
考え方は人それぞれですが、
遺骨をいつまでも自宅においておくことは縁起が悪いと思うのかもしません。
遺骨を自宅保管して、いつまでも故人を失った哀しみを引きずるより、お墓に入れて気持ちの整理をつけてほしいという思いかもしれません。
また、お寺の住職であれば、四十九日を目安にお墓に遺骨を入れること推奨するかもしれません。
そういうものだからと何となくお墓に入れるその前に、お墓の管理や維持、誰が引き継いでいくのかなど、
将来のことまでよく考えましょう。
火葬後の遺骨をどのように扱うかは、故人の遺志そして、遺骨を託された遺族の方の気持ちが一番大切です。
先のことまで考えて遺骨を自宅保管するという選択は決して悪いことではありません。
遺骨を自宅保管しておくための注意点
遺骨を自宅保管しておく際に注意するべきことは室内の湿気です。
自宅保管してあったお骨は徐々に湿気が骨壷内に溜まっていくことがあります。
ほとんどの骨壷は容器と蓋の間に空気の通り道となる隙間が存在してます。
自宅の保管状態によりますが、火葬後数年であれば特に遺骨や骨壷内が湿気でカビていたということはまずありませんが、徐々に骨壷の底部に湿気がたまっていくことがあります。
湿気が溜まった骨壷内では、微量の有機物を栄養素にしてカビが繁殖する可能性も否定できません。
カビに注意して保管するためには、湿気が多い場所に置かないことが重要です。
具体的にはお風呂や炊事場の近く、結露しやすいガラス窓の近く、風通しの悪い押入れの様な場所もよくありません。
お墓にあったお骨を自宅保管する際の注意点
お墓に一度入っていた遺骨は土中の水分や雨水を吸ってしまっていることがほとんどです。
骨壷の陶磁器素材は水の浸透性がないため、一度骨壷内に水が浸水すると排出されることなく溜まり続けてしまいます。
実際、お墓から出した骨壷を蓋をずらして傾けると大量の水がザッーと流れ出てくることはよくあります。
こういった状態の湿った遺骨を自宅保管するには、遺骨を十分に乾燥、殺菌してから保管する必要があります。
また、土で汚れた遺骨の水洗浄を行なっている業者もありますが、水洗浄の過程で遺骨は下水道に流出してしまいます。
微量であっても洗浄によって遺骨を下水に流してしまうことは、倫理的な側面からも見ぬふりができないと弊社では考えております。
そのため大きな取り除ける範囲の土を取り除いた後は、そのまま乾燥殺菌を行なっています。
お骨の色は真っ白にはなりませんが、保管する上で衛生上の問題は全くありません。
遺骨を状態良く自宅保管できる粉骨と真空パック
お骨壷のサイズは大きいものだと成人男性が両手で抱えるほど大きく、自宅で保管するためには、それなりのスペースを必要とします。
先に述べたように自宅に遺骨を保管しておくこと自体全く問題がありませんが、それでも、『遺骨を自宅にずっと置いとくなんて良くないんじゃない』と言われたり、来客の目を気にされて遺骨を目立たないようにしたいと希望される方もいます。
また、長期間遺骨をそのままにしておくと、骨壷内が結露して少しずつ遺骨が湿ってきてしまったり、カビが発生するということもないとは言えません。
遺骨を最善の状態で保管しておくためには、空気との接触を極力無くして保管しておくことです。
遺骨をパウダーにして真空しておけば、衛生的かつコンパクトに保管することが可能です。
パウダー状にして真空パックする
遺骨を真空パックすることで半永久的な保管が可能となります。
遺骨はそのままの形状だと、空気を完全に抜くことができないので、パウダー状に遺骨を加工(粉骨)してから真空パックを施します。パウダー状で保管しておけば、いつか遺骨を散骨するという際にも袋から出すだけですぐに散骨が可能です。
長期間の自宅保管に最適な手元供養
骨壷の状態のまま自宅保管していると、ご葬儀後の気持ちから中々切り替えることができず、お骨壷を見るたびに悲しい気持ちになるとおっしゃる方もいます。
粉骨をした後の遺骨の容器は部屋になじむような箱や桐箱に納めることができるので、来客の視線を気にすることもなくなります。
また、遺骨を粉骨するとその容積は約1/3になります。骨壷の置き場所に困っている方にとっても粉骨をすることで小さなスペースに収めることができるようになります。
ペットの遺骨の自宅保管
実はペットの遺骨を自宅保管しておくという方は、人の場合より圧倒的多いです。
人と比べるとペットのお墓が少ないという理由だけでなく、気持ちが落ち着く当分の間は側に置いておきたいという飼い主の気持ちからくるところがあるようです。
ペットの場合、さらに遺骨をパウダー状にすることで、遺骨は片手のひらサイズに小さくすることができるので、ちょっとした可愛らしい容器や、ペット用の可愛い骨壷に移し替えることも可能になります。
自宅保管していた遺骨は最終的にどのように供養すればいい?
いつか自分で遺骨を管理できなくなったら、他に任せられる人もいない時はどうしたら良いでしょうか。
自宅に保管していた骨壷を供養する方法についてご説明します。
1、永代供養墓に収める
お墓を管理するお寺や霊園には必ず個別のお墓の他に永代供養墓(合祀墓)があります。
墓じまいをされた後のご遺骨や、連絡が途絶えてしまった方のご遺骨がこの合祀墓に納められます。
また、他の方々と遺骨は一緒になりますが、永代供養料として初めに費用を支払えば以後の管理費等は一切かからないのが特徴です。
2、樹木葬
樹木葬とは、樹木の下に遺骨を埋葬して供養する方法です。樹木だけでなく、洋風のガーデン風の花壇などその様式は様々ですが、
一般的なお墓との違いは、継承者を必要としない永代供養を前提に考えられたお墓だと言えます。また、一般的なお墓を建てるのと比べれば数十万の費用から供養できることも特徴です。
3、散骨
散骨は命を自然に還すという考えと現代のニーズとともに広まりつつある葬送の一つです。
海洋散骨はその名の通り、海へ遺骨を撒いてご遺骨を供養します。
広大な海に手を合わせれば、繋がった海のどこからでも故人を偲ぶことができます。
また、散骨は以後の管理費がかからないことや、土地を占有しない分だけ、他の供養方法と比べても一番費用の負担が少ない方法といえるでしょう。